本出会計事務所公認会計士・税理士 本出 一正
法人成り

売上だけで法人化を決めていい? 利益・維持費・手元資金の見方

「売上が増えたから、そろそろ法人に」。その判断の前に、利益と毎年の負担を同じ紙に並べてみましょう。

掲載:本出会計事務所

はじめに

売上は判断材料の一つです。法人化で手元のお金や事業の進め方がどう変わるかは、利益・社会保険・継続費用・今後の計画まで合わせて考えます。

売上が同じでも、残る利益は違う

商品を仕入れて販売する事業と、主に自分の技術を提供する事業では、同じ売上でも必要な経費が違います。売上だけを見て法人化の目安を当てはめると、自分の事業の実情から離れてしまいます。

まずは直近の申告書や会計データから、売上・経費・利益を分けます。今年の途中なら、現時点の実績と決算までの見込みを区別します。大きな売上が一度だけあった年と、毎年同じ水準が続く見込みの事業も分けて考えたいところです。

税額の比較に、毎年の負担を加える

法人化の比較では、税金の試算と一緒に、社会保険や会計・申告などの継続費用も確認します。法人事業所の社会保険の取扱いは、被保険者となる方の条件を含めて確認が必要です。

「税金が少なくなるか」と「負担全体が軽くなるか」は、別々に確かめます。支払う月にも目を向けると、年間では賄えても、設立直後に資金が不足する計画になっていないかを見直せます。

会社のお金と、生活に使うお金を分ける

個人事業では事業と生活の出入りが混ざりやすい一方、法人化後は会社と個人を分けた管理が必要になります。会社に残る資金を、そのまま個人の生活費として数える計画にはしません。

会社で必要な運転資金、個人の生活費、役員報酬の考え方を整理します。会社と個人の両方で、いつ、何の支払いがあるかを確認すると、法人化後の資金の流れを具体的に考えやすくなります。

消費税と事業上の理由も、個別に確認する

法人化すれば必ず消費税が免税になる、とは限りません。資本金やインボイス登録など、免税にならない条件があります。個人事業の状況と設立後の法人の条件を別々に確認します。

取引先との契約、採用、借入、事業の引継ぎなど、税金以外に法人が必要になる理由もあります。法人にする目的と、その目的を達成したい時期を整理してから、切り替えの準備を考えましょう。

法人化を考えるときに並べたい数字と予定
見るもの相談前に整理すること
売上・経費・利益直近の実績と、今後も続く見込み
税金・社会保険・継続費用負担の種類、条件、支払う時期
手元資金会社の運転資金と、個人の生活費
事業の予定契約・採用・投資・法人化したい理由

数字がまだ全部そろっていなくても、どこを確認すれば判断できるかを整理することから始められます。法人化を決める前の段階で、いま迷っていることをお聞かせください。